こすもす公園
この日、テントを張らせていただいたのは、釜石の市街地から10kmほど遠野方面へ上った場所にある「こすもす公園」。
隣接する「創作農家こすもす(レストランこすもす)」のオーナーである藤井さんご夫妻が、震災後、市内のほとんどの公園が仮設住宅などになってしまい、子どもたちの遊び場がなくなったのをなんとかしたいと、個人で作り上げた自然いっぱいの公園です。
写真左から、ご主人の藤井了(さとる)さん、奥さまのサエ子さん。そして、ボランティアでここに来て、移住を決意。この場所で自然いっぱいの幼稚園をつくることを目指している深澤鮎美さん。
藤井さん宅には、世界各地からの救援ボランティアの方々が宿泊。公園を作る! という藤井さんの思いに共感して、さまざまなアイデアや人脈が広がり、とてもユニークな空間になりました。
こすもす公園は、沿岸部ではないけれど、「東日本大震災の被災地に、千年先に残る巡礼の道を作ろう」とする『東北お遍路プロジェクト』の巡礼地に選ばれています。
「あさになったら、みんなのえがおがきえていた。」
藤井さんが公園を作ろうと決意するきっかけになった、サキちゃんの作文。
一緒に公園を作った海外からのボランティアの人たちとの思い出を教えていただきました。
クライミングウォールを作るボランティアで、初めてここを訪れた時の鮎美さん(右端)。
隣接する工場の、雨跡が残った大きな壁面を見て「津波を思い出す」という子ども呟きを聞いた藤井さんは、壁画を描こうと思いつき。
工場のオーナーも快諾。ボランティアでここにきていた佐藤摩利子さん(国連職員)の紹介で、バンコク在住の画家、阿部恭子さんが壁画制作を引き受けて。
のべ500人の手で、明るい壁画ができあがりました。
ブロック塀を埋める、みんなが手をつないでいる絵は、地元の子どもたちが自画像を描いたそうです。
山あり、穴あり。きっと、子どもたちにはたまらない遊び場です。
夢は叶う! 希望の鐘。
藤井さん、奥さま、鮎美さん、ありがとうございました。
ところで、実はこの日、EVスーパセブンは充電器の配線が断線。修理には特殊な工具が必要で、旅の継続がピンチになっていました。
いよいよ、ここでリタイヤか?
でも、八王子にあるトヨタ東京自動車大学校の学生として、日本EVクラブの活動に参加。今は、遠野市内のディーラーでメカニックとして働いている小國太史さんが、工具を持って駆け付けてくれたのです。
さすが、電気自動車にも詳しいクルマのプロ。あっという間に修理してくれました。
大槌町
整備を済ませたEVスーパーセブンとともに、小國さんの故郷である大槌へ。役場の旧庁舎は住民投票で取り壊しが決まったそうです。
「民宿 六大工」を営む実家では、2013年の旅でも会ったご両親が迎えてくださいました。
その時「津波で流されたジャガーを買い直す!」と言っていたお父さんは、トヨタに就職した太史さんのために、レクサスを買ったそうです。
大槌から、今夜のキャンプ地である宮古姉ヶ崎オートキャンプ場へ向かう途中。海沿いの道には、防潮堤と、工事現場が続いています。